精神疾患の障害年金申請について
障害年金という制度とは
病気やけがで障害状態となった方を対象とした、年金(または一時金)として支給される公的制度です。
原則65歳までに請求する必要があり、「65歳からの老齢年金を貰う前に病気やけがで収入獲得能力が下がってしまった部分を補填する」という意味合いが強い制度となります。(但し、受給権が継続していれば、65歳以上も支給されます。等級により完全選択、部分選択など別れますが、どちらにせよ老齢年金に悪影響はありません。)
うつ病、双極性障害(躁うつ病)、統合失調症、気分障害など精神疾患により、一般就労困難、日常生活にも大きな支障が出ているという方は申請を検討してみてはいかがでしょうか。
経済的な支えが少しでもあると、治療に専念できたり、段階的な社会復帰を目指せるなどの利点があります。
障害年金の受給要件とは
- ①初診日要件
- ②保険料納付要件
- ③認定日要件
上記3つの要件を満たすことで受給することができます。
①初診日要件
初診日とは病気やけがで「初めて」医師、歯科医師により診察、治療を受けた日のことを言います。
この初診日に日本の年金制度(国民年金、厚生年金、共済年金等)に加入しており、
「初診日を客観的に証明することが可能」である必要があります。
②保険料納付要件
初診日の前日において、年金保険料納付義務期間の「全体の3分の2以上納付、免除、猶予している」または、「初診日の前々月までの1年間に未納が無い」のどちらかを満たす必要があります。
※未納→納付、免除、猶予以外の期間。(部分免除の場合は納付義務分については納付が必要。)
※①の初診日が20歳未満である場合は、②は問われません。
③認定日要件
障害認定日(原則1年6ヶ月経過、例外あり)において、国の定める基準に該当していることが必要となります。
認定基準について詳しくはこちら
※年金機構に掲載の認定基準はこちら
対象となる疾病とは
障害年金の対象となる疾病は非常に多く、その中で精神疾患の対象となる主なものは「うつ病、双極性障害(躁うつ病)、
統合失調症、気分障害、知的障害、発達障害(ADHD、アスペルガー症候群など)、てんかん」などが有ります。
また、器質性精神障害、高次脳機能障害なども対象です。
一方で、不安障害、不安神経症、パニック障害、適応障害、PTSDなどの「神経症」の場合、
明確に対象外としていないものの、障害年金の受給は困難です。
(※「精神疾患の症状(病態)」があるもので、かつその旨診断書に明記されている場合は支給されるケースもあります。)
請求可能なタイミングは?
障害年金制度では「認定日」の到達が必須となります。
認定日とは原則「初診日から1年半経過した日」です。
(※他の疾患では認定日の特例、症状固定などの考え方がありますが、精神疾患ではその様な考え方はありません。)
認定日到達までは申請が出来ないので注意が必要です。
また、二十歳前に初診のある傷病については、「初診日から1年半経過した日、または二十歳到達のいずれか遅い方」になる為、多くのケースで二十歳到達により請求可能となります。
認定基準、等級のイメージ
認定基準では傷病ごとに細かく分かれていますので、イメージを簡単にお伝えします。
詳細はこちら
- 1級 常に他者の手助けが必要、活動範囲は病室、ベッドの上
- 2級 日常生活の多くの場面で他者の手助けが必要、活動範囲はご自宅内程度、一般就労は困難
- 3級 日常生活は自力で何とかなるが、社会生活(就労)に制限、手助けが必要
ちなみに、精神障害者保健福祉手帳(精神障害者手帳)、療育手帳などの等級と「必ずしも一致はしない」となります。
(審査機関が別です。)
また、手帳が無くても申請可能です。
等級判定ガイドラインについて
精神疾患での審査では障害認定基準の他に「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン」
というものが有ります。(以下「等級判定ガイドライン」)
この等級判定ガイドラインでは、「①診断書裏面の項目の数値化、等級目安」と「②数値化できないが考慮すべき項目についての列挙」が特徴となります。
①、②と自分達で作成する「③病歴就労状況等申立書」(その他添付がある場合は④添付書類)、これらの内容を総合的に勘案して等級を判定する流れとなっております。
働きながら障害年金を受給できるのか
働きながらでも障害年金を受給できるケースがあります。
詳しくはこちら
当センターでは働きながら障害年金を受給できるか確認することも可能ですので、一度ご相談ください。
不支給になるケース
不支給となってしまった理由で良くあるものをいくつか紹介します。
- ①申請書類の内容が現実と相違している
障害年金の審査は、介護認定と違い、申請者本人の実生活、症状などを直接みて審査、判断をしません。
「書類上での障害状態、日常生活状況などが認定基準に当てはまるか」で判断をします。
そのため、
主治医と話せていない、話す時間がない → 診断書内容が軽く見積もられる可能性
病歴就労状況等申立書の記載が少ない、的外れ → 症状、日常生活状況が正しく伝わらない
などとなり、現実と相違した内容で審査を受けて不支給となってしまう。
- ②書類を揃えるだけで提出してしまう
申請書類を揃えることだけで手一杯となり、その内容や各書類の整合性などを確認、整備しないまま提出してしまい、信憑性を疑われてしまったり、①同様現実と相違して不支給となってしまう。
- ③社会保険加入中である
社会保険加入であることは審査も把握しています。(雇用開始日、標準報酬額、賞与額など)
逆に言えばその情報から読み取れない要素(休職している、職場からの配慮、勤務実態など)もあるため、社会保険加入でも現実は一般就労状況ではないというケースでは、就労についてフォローを入れないと真実が伝わらず、単に「就労している」と判断され不支給となってしまう。
- ④単身者である
住民場情報や診断書の同居者の有無記載箇所などの情報から、単身者というだけで不支給となってしまうケース(特に障害基礎対象者)もあります。
これは、「単身生活ができるだけの軽度の症状ではないか」と判断されてしまうからです。
これも③と同様にフォローを入れる必要があります。
当事務所で受給できた事例
当事務所でも何件も精神疾患の方が障害年金を受給しておりますので、
似たような症状かご確認ください
その他のポイント
就労状況(正社員、パート、アルバイト、職務内容、1日〇時間、週〇日出勤、月〇万円、職場からの配慮など)や
同居家族の有無なども審査に影響を与えます。
障害年金を受給できるかお悩みの方は是非ご相談ください。
社労士に依頼するメリットはこちら